時代の波に合わせた仕事の進化とは!?
私は高校を出て直ぐに、名古屋の寝具問屋さんに就職しました。
というより、修行しに行ったというのが正しいです。
そこで2年半勉強して、次は、静岡にあった「東京布団技術専門学院」に入校しました。
名前は固苦しいですが、簡単にいえば、布団の制作を習う学校です。
半年間、住み込みで、朝から晩まで布団を作っていました。
のべ3年の修行を終えて、実家の布団屋に戻ってきました。
21歳で親の後を継ぐことになったのです。
ところが父親の前で、布団を作ったところ、「お前は何を勉強してきたんだ!」というダメ出しです。
なんと作り方が、父親と全く違っていたのです。
私は、東京方面の制作方法で、父親は中京地区の制作方法だったのです。
住んでいる場所によって、布団の製造方法が違うなんて想像もしませんでした。
しばらくは、私にも意地があるので、私の作り方をしていましたが、だんだん父親の作り方に共感するするようになり、結局は中京方式の作り方に変えてしまいました。
あれから長い歳月が流れ、私の一生は布団職人で終えると思っていたのですが、なんと時代の波が押し寄せてきたのです。
布団綿を注文していた業者が倒産、打ち直しの機械を修理する業者が廃業・・・
布団を作りたくても、できない状況になってしまいました。
やがて時代は、もめん綿から羽毛ふとんになり、一から勉強のやり直しです。
綿の知識と、羽毛の知識では雲泥の差なのです。
過去の経験や知識が全く役に立ちません。
ことし73才になる私の今の仕事は、睡眠環境アドバイザーの肩書で、寝具カウンセリングをして、「お客さまに合った寝具の提案」をすることです。
こんな形態になるなんて、50年前の私には全く想像できなかったことです。
・・いまも時代は変化、いや進化し続けています。
その進化に合わせて、仕事の内容も進化させなけらば生きのびることができないことが、しみじみ実感できる今日この頃です。